――無拳会との出会い、歩みを教えてください。
2015年に息子に空手を習わせたいと思い、妻がネットでいろいろと調べ、FBの記事などを見て、かわいい子供たちがいっぱいで、楽しそう、ということで幾度か見学に。親としては子供に精神的な強さを身につけてもらいたいと思い、蔵前道場に入門させていただきました。
その後、鈴木先生から「お父さんもどうですか?」とお誘いいただきまして、体験することになりました。
私は大学時代に新空手(グローブ付き空手)をやっていたのですが、体験稽古ではその頃の楽しさを思い出しました。
週1回コースから始めたのですが、道場では優しい方が多くて雰囲気が良かったですね。
そして空手道場ではありがち(?)な、「最初は優しいけど稽古では豹変して怖い」なことが全然なく、ずっと皆さん優しいので「これなら続けられる」と思いフルタイム会員になって、週2回くらいのペースになりました。
順調かどうかわかりませんが、大会はフル出場してきました。
学生時代の試合でTKO負けをしたことがあり、その悔しさがどこか心残りだったのですが、無拳流では、道場の仲間と気持ちよく試合することができました。
そして、試合で試そうとしていた技も、実際にはできない、失敗したりする。
それを普段の稽古にフィードバックしていく、というとても技術向上につながる仕組みがあって、実践的だなあと感じています。
自分的にはずっとテイクダウンが課題と思っているのですが、今の新ルールでも、稽古と試合、審査の中でフィードバックして向上していきたいと思います。
――今回の審査会を経て、どのように感じていますか?
私は2018年に旧ルールでの10人組手を経て昇段させていただきました。
そのときはやはり体力的に大変厳しかったです。でも乗り越えられたのは、一重に道場の仲間が応援参加してくれたり、声援をかけてくれたりといった”友情パワー“があったからだ、と感じていました。いつか必ず恩返ししたい、という思いをずっと持っていました。
そして今回の新ルールでの審査会では、道場の先輩である伊藤さんや中世古さんがチャレンジする姿を見て、やっぱりこの人たちについていきたい、という思いが強くなり、先生からお話をいただき審査を受けさせていただくことにしました。
顔面ありの組手の経験はしていましたが、無拳流ではテイクダウンがあります。カッティングがあるとハイキック出しにくくなるように、(道衣を)掴んでも顔面を守らければならないなど、技術的にはかなりの難しさは感じていました。
自分の中では、出入りと距離感が課題と考えていたので、足が止まらないように走りこみをしました。好きな長渕剛さんの歌を聴きながら走りました。長渕さん自身も結構お年を召してから空手を始めてすごい肉体改造をしていましたし、そのスピリッツを注入しながら走りました。
審査会でどこまでできたかわかりませんし、たくさんの反省点もあるのですが、鈴木先生から「出入りよかったですよ」というお言葉をいただき、自分としては一つの達成感がありました。
――これからの抱負と、これからの無拳流への期待は?
今年50歳になりましたが、今、空手をやることが本当に楽しいです。
鈴木先生や先輩諸氏、仲間と一緒に、ケガせずさせず、ずっと続けていきたいです。最近、青山道場のホープである佐藤先生、林先生たちが蔵前に来てくださることもうれしいですね。若い世代ともどんどん一緒に稽古したいです。
無拳流は、やはり「人の集まり」が最高の価値だと思います。
空手は個人のものでは決してありません。
仲間との体の貸し借りを通してしか会得できないことがあります。
今回の審査会でも痛感しましたが、仲間の応援が何よりも力になります。声援はリアルなドラゴンボールの元気玉なのです。
そしてご指導いただく先生方に改めて感謝申し上げます。
僭越ながら同年齢の山口先生(無拳流空手道代表・青山本部道場)の技のすばらしさ、無敵感は憧れしかありません。
そして常に暖かくご指導いただく鈴木先生。時にマンツーマンになる稽古の時は、多彩な技を教えていただき本当にありがとうございます。
私の“恩返し”はまだまだ終わっていません。
この先生方も門下生も暖かい道場で、ずっと空手を続けていくこと。それが一番の願いです。