
9月の審査会で三段を受験した、中世古久さん(50歳。蔵前道場所属)にインタビューしました!(インタビュアー記事:永井仁高氏)
MUGEN-KARATEでの歩み
20年前、私が30歳の時、結婚もして仕事も調子に乗っていたのですが、トラブルがあると物に当たったりして、感情をコントロールすることが苦手でした…。
気の弱いところがあってそうなるのだと思い、メンタルの支えにしようと、空手道場を探しました。
子供時代は体が弱く、マイク・タイソンが流行っていたからか、父が家にサンドバックを吊ってくれたりして、格闘技には関心があったのです。
そして、カルチャーセンターの「やさしい空手教室」から始めました。
審査会で支部へ行くと、「やさしい空手教室」の先生の隣に “全身カミソリ”のような印象の山口先生(無拳流空手道代表/青山本部道場)がいらっしゃいました。(あくまでも当時の印象です)
私はなんだか怖くて目も合わせられなかったのですが、審査会の中で、山口先生が受験者を気遣われている様子を拝見して(やさしい方かも・・)と思いました。
しかし、その直後、審査の組手で山口先生の垂直の膝蹴りの驚異的な威力が炸裂。
後にも先にも見たことがない技で、怖れと同時に憧れが心に刻まれました。
そして、山口先生の指導されている分支部道場へ行くことにしたのですが、カルチャーセンターとは少し雰囲気が違ってとまどいました。
女性も年配者もいましたが、本格的だったのです。
でも、道場の皆さんがとてもやさしいので、続けることができました。
もう20年になるので、日々の稽古から審査会まで、思い出はいろいろあります。
警護関係の専門のお仕事をされている、熊のような体格の門下生の人を、山口先生が「ジョジョの奇妙な冒険」の波紋のような技で制されたり、本当にたくさん。。。
でもずっと続けられたのは、昔から今に至るまで、道場の皆さんが優しいからです。
なぜ昔も今もこの道場の人たちは優しいのか、、、その謎を解くまではやめられないと思っています。

○審査会に向けて
昔道場で見た、捌き系の空手の「巻き込み投げ」(体術、投げ技の一つ)が大好きで、いつか自分も決めたいと思い、稽古してきました。
なので、今回の新ルールとなり、寸止めとはいえ「顔面アリ」でテイク・ダウンをするは難しいのかな、と最初は目標を見失いかけました。
それでも、蔵前の女性陣はじめ、みんながどんどん打撃が上手くなっていく。
山口先生が新ルールの中でもテイクダウン技術を見せてくださる。
山口先生に質問したところ、「そもそも捌き系の空手は顔面アリで想定された技術」と教えていただき、目が覚めました。
実は年内受験を目標に年初から体力作り、自主練を始めていましたが、コロナに罹患したりして行き詰まり感がありました。
そこに「RINGΦFIGHT」があり、その際に山口先生にお声がけいただき、「ここしかない!」と思い、挑戦しました。
受験前には、(いま自分が所属している)蔵前道場の代表である鈴木先生との稽古で、距離の確認や出したい技(巻き込み投げはもちろん、支え釣り込み、足払いからの大外など)の練習ができ、感謝しております。
ただ、本番の審査では、出したい技にこだわりすぎて間合いが近くなってしまい、しかも技は出せないまま…。
鈴木先生はじめ協力いただいた皆さんに申し訳なく、忸怩(じくじ)たる思いはありますが、これからの目標もできました。
これからの目標は、「攻撃は全部捌いて、制する」です。
かたっぱしから捌き、投げまくれるような達人になりたいです。

○人生の支えになる道場
私は2020年にスキーで脳にダメージを受けるケガをしてしまいました。
妻の前で、医師から「空手は論外」という話をされてしまいました。
それで山口先生に、どうしたらよいかご相談させていただきました。
その時、先生から「私も人生で2、3度、病で生命をなくしかけました」というお話を聞き、己の弱さや迷いを吹っ切り、空手を続ける勇気がまた湧いてきたのです。(道場側からの怪我に対する配慮も提案されました)
妻も病院関係の仕事なので、きちんと話せばわかってもらえました。
そして空手を続けることができ、今回は三段の審査を受けることができました。
そしてこれからも、RINGΦ FIGHT(リングの中での寸止めのボクシングやキックボクシング)などの機会をいただけるようになりました。
山口先生はじめ鈴木先生、家族、道場の皆さんには感謝しかありません。
今、MUGEN-KARATEの若い世代がK-1やRISEのアマチュア大会で、頻繁に日本チャンピオンになったりと活躍してくれて、MUGEN-KARATEの新たな可能性を開いてくれています。 とても誇らしく応援しています。
そんな彼、彼女たち含めた若い方々に伝えたいことがあります。
それは、この道場では「心と身体」を鍛えることができ、人生の柱を創れるのだ、ということ。
現実社会や生活の中では、心を鍛えるのは本当に難しいものです。
私の歳になってもまだまだです。
でもMUGEN-KARATEの稽古では、先生のご指導のもと、身体の貸し借りを通した優しい仲間たちとの交流で身体をしっかりと鍛えていく中で、必ず心も充実させていけます。
これからも、この無拳流の道場の中で、老若男女、優しく励む人たちと、刺激し合いましょう。
私も、頑張ります!
調子に乗りすぎたら叱ってください(笑)
押忍。
