堤陽祐さん(蔵前道場)インタビュー
――無拳流との出会いを教えてください。
子供のころからK-1やPRIDEなど格闘技を見ることは好きでした。
小学生のころは伝統派空手をやっていたのですが、その後はテニスで学生生活を送り、社会人になって26歳位かな、今から8年程前に入門いたしました。
格闘技を見る中での空手出身の選手の技は美しいと感じていたこと、道着や武道に魅力を感じていたことから、空手をやってみたいと思っていました。
蔵前での体験稽古に参加すると、先生と先輩方が大変優しくて楽しかったので即入門しました。
稽古は週1の時から週2~3回、時には休みが長くなることもありましたが、とにかく楽しくて、一度もやめようとは思ったことはありません。
実は、紫帯の時の審査会でケガをしてしまい、3カ月ほど休んだことがあります。それでも、あれはガードが甘かったのだ、ああすればよかったなあ、などと考えてばかりで早く復帰したい、とばかり願っていました。
――どこにそれほどひかれたのですか?
とにかく最初は掴み・捌き、打撃がある中での体術に衝撃を受けました。
まったく知らない技術でしたし、なかなかうまくはいかなかないものですが、攻防の中でうまく入っていくにはどうすればいいか、など技術的に研究することが多く、今も課題ですし楽しみでもあります。
茶帯までずっと旧ルール(投げのあるフルコンタクト空手)でやってきましたが、新ルール(上段突きも認められる寸止めルール)に変わり、ますますやれることの幅が広がったと感じ、面白くてたまりません。
顔面への突きがあることで、意識の上下への散らしとか、上から下へのテイクダウンとか。
もちろん技が決まったら楽しいのですが、攻防の駆け引きの中で技の応酬があることが私にとって最大の魅力であり、修行の課題でもあります。
これまでの審査会で青山道場の中西さんや、山口憲介さんが実践されたような、無拳流の空手の技を習得したいですね。
パワーでなく、タイミングのずらしや、意識の外しなどを駆使して、袖釣りやスイープを決められるようになりたいです。
稽古して少しできるようになると、さらに奥がある。無拳流の技の奥深さは本当にすごいと思います。
――今回の審査会ではどうでしたか?
やはりテイクダウンを狙っていたのですが、打撃に寄りがちになってしまいました。
ただそこも、鈴木先生から終了後に良かった部分などをお褒めいただき、見ていてくださるのだなあ、とうれしかったですね。また、審査中の苦しいタイミングでも、皆さんからいただく声援が本当に励みになりました。
次に向けて、さらに引き出しを増やさねばならない、と感じています。
――もう次ですか?
無拳流の審査会は、毎回本当にとても楽しみです。
一つの目標を持ち、必然的に努力しなくてはいけません。
その過程で、先生、先輩方、仲間から多大なサポートをいただきます。今回も蔵前道場はもちろん、青山道場での出稽古でも、山口先生はじめ、皆さんにたくさんご指導をしていただきました。
改めて皆様に感謝申し上げます。
実は、これまでは稽古、修行が楽しいので、個人的に言えば段位取得への強いこだわりはありませんでした。
でも新ルールになってからの、黒帯の諸先輩方の、表現を問わずに申せば「再挑戦」を見て、自分も挑戦したいと思うようになりました。
――これからの抱負は?
審査を終え、自分の未熟さを痛感しています。とにかく無拳流の技をもって磨いていきたいです。
入会から、無拳流は私の人生の一部になっています。
どこか空手、稽古が普通になっていた中で、諸先輩方の姿に挑戦することへの刺激を受け、今回の審査に臨み、新しい目標を持つことができました。
私も、誰かの挑戦を後押しするような存在になりたいと思います。
それが道場への恩返しだと思っております。
RINGφFIGHTにおいても、無拳流の常に挑戦する、変化する息吹を感じて刺激を受けました。
ルールの違いに対してさまざまなアプローチがあると思いますが、皆さんの個性がすごく出ていながら、コアに無拳流空手がしっかりとある。
ブレない軸をどう自分の中に作っていくかを考えています。
蔵前道場は、鈴木先生のお人柄か、和気あいあいとした雰囲気の中でしっかり稽古ができるという雰囲気だと感じます。
いつも体の貸し借りをしていただける門下の皆さん、本当にありがとうございます。
人生の先輩も若い世代も、それぞれの個性をつむげる無拳流で、これからも頑張っていきたいと思います。