――山口先生との出会いは?
私は前の流派の時に、代表の山口先生(青山本部道場)と出会いました。
夫が先にそちらに入門しており、見学に行くなどをしていくうちに顔なじみとなり、空手を始めました。
当時の山口先生はスタイリッシュで切れ味鋭い印象があります。
先生の独立前後で、私は少し空手を離れてテコンドーやったりしていたのですが、やはり空手をやりたくなり、空手ならば山口先生に、ということで無拳流に入門しました。
山口先生の空手はテイクダウンの面白さもありますが、「技の美しさ」「理(ことわり)」を大事にされておりとても憧れました。
20年たった今でも憧れは続いています。そしてやはり、道場の「人」がとてもやさしく雰囲気が良くて、20年続けられたともいます。
――新ルールでの10人組手はいかがでしたか?
前の流派でも関東や全国大会に出ましたし無拳流でも組手、試合はよくやりましたが、旧ルールでは安全地帯ともいえる顔面なしの距離から展開を作ることに慣れた身としては、新ルールはとても難しいと当初感じました。
距離やスピード感など、こんなにも自分はできないのか、と思うこともしばしばでしたね。
しかし審査会に向けた練習をする中で、新しいことに挑戦するチャンスをいただけた、と感じるようになりました。
もともと打撃が好きでテイクダウンはあまりやりませんでした。
今多くなっているタックルなどを学ぶ中で、テイクダウンにも取り組みたいと思うようになりました。
また、ぼんやりと「もう審査会とか受けることないかなあ」と思っていた中で、先生から機会をいただけたことで「自分も受けていいんだ!」と心躍る思いでした。
実際には仕事などで準備不足な面もあったかもしれませんが、これまで積み上げと新しい技術を、また新しいステージで試すという素晴らしい審査会ができたと思います。
山口先生、審査にご協力いただいた皆様に深く感謝申し上げます。
終わってみて、頭はとても使ってくたくたになりましたが身体的ダメージは少なく、考えは深まりました。
バランスよく続けていきやすいルールだと感じています。
――これからの無拳流に期待することは何でしょうか?
無拳流道場の、みんなが本当に空手を楽しんでいる、という空気が好きです。
そして、皆さん、自分が色帯の時よりも技術的にはすごく進歩しているように感じます。いろいろなうまさ、があると思いますが、皆さん技の吸収力がすごいというか、幅が広がっているというか。
わからないところも休憩中に質問されたり、自主的取り組まれたり。とてもリラックスしながら、ピッとした距離感をもって稽古する、とてもいい環境だと思います。
また、私が幼年時代に指導のお手伝いをさせてもらった佐藤翔太君や林兄弟が「先生」となっている姿を見ると、親戚の叔母さんのようにほっこりした気持ちになります。
同じ道場で同じ時間を過ごした事が、こんなかけがえのない感動になる道場もほかにないと思います。
自分でGOALは決めていないけれど、ずっと続けいきたいと今、思っています。
――門下生の皆さんへのメッセージを
無拳流では常に「挑戦のステージ」が用意されているように感じます。黒帯になってようやく「どこが本当にわからないのか」がわかるように、続けていく中で発見できることがたくさんあります。
たとえば「リングファイト」も、私には最初は空手とボクシング、キックが結びつかない感じもしましたが、審査会を経て、構えや足の出入り、軸など空手の土台が生きる、つながっていくのではないか、と思えてきています。
20年やっても「わからない、できない」ことがありますが、だからこそ面白く、これまでわかったつもりだったこともアップデートできるチャンスがあります。
黒帯は、道場で前に立つ人、道を作る人、だと思います。
女性会員としての道を作っていけるような人になりたいと思いますし、皆がつながってくれることを願っています。
私も大人になってから空手を初めて、40代最後でこんな挑戦ステージをいただきました。
皆さんにもさまざまな挑戦チャンスがあると思います。
ぜひ道場ライフを続けていただきたいと思います。